そのシャープでキレのある正確無比なドラミングで、MY FIRST STORYの中でも圧倒的な存在感を放っているKid'z氏。ネクストジェネレーションのドラムヒーローとの呼び声も高いKid'z氏が、Pearlドラムを使う”理由”を聞いてみた。
パールスタッフ(以下:Pearl)Pearl Drumを使い出したキッカケは何ですか?
Kid’z:18歳か19歳の時に専門学校に通いながら受けたオーディションで受かって、とあるアーティストのサポートをするってなったんですよ。その時、僕は自分のドラムセットを持ってなくて…周りからも"ドラムセットは持っておいた方が良いよ"というアドバイスがあったので、それでPearlのMastersシリーズのドラムセットを買いました。Pearlを選んだ理由なんですけど、僕が小さい頃からずっと憧れていたドラマーがShane Gaalaasで、Shaneはいろんなセットを使ってましたけど、PearlのMastersも使っていて…。やっぱり憧れてるドラマーと同じものを使いたいって思うじゃないですか。
Pearl:そのMastersはMY FIRST STORYの2016年日本武道館公演で使用された黒のセット(上記画像参照)ですよね?
Kid’z:そうです。ただ、あれ元々はオーシャンスパークルでしたっけ?青いラメが入った色だったんですよ。それをマイファス(MY FIRST STORY)で使う時に塗り替えてるんですね。だから何かの拍子でぶつけたりして塗装が剥げてるところはちょっとオーシャンが出てるんですよ笑。
Pearl:ドラムセットを選ぶ上でのサイズやセッティングに関してのこだわりは?
Kid’z:タムは12”13“のタムの並びより10”12“の並びの方が個人的に好きですね。実家に初心者用のドラムセットが置いてあったんですけど、その時は3タムだったんですよ。10“12“13”だったかな。それに16”のフロアタムがあって。タムが3つあった時から10”12“の流れがすごい好きで、13“のタムは要らないなと思ったんですね。13”のタムを置くならそこにライドシンバルを置きたいですしね。それで最初買ったドラムセットが2タム(10”12“)2フロア(14”16“)だったんですけど、プレイスタイル的に左にも太鼓がほしくて、最初サイドスネアとか置いてたんですよ。ただそれよりも低い音が欲しくて、MY FIRST STORYのツアー中に18″フロアタムを追加で注文させてもらって、それで割と今のセッティングに近い形になりましたね。
一番迷ってたのが14”フロアタムの扱い方で…。14”自体がPopsのようなジャンルだと凄い活躍してたんですけど、僕らって結構激しい曲が多いじゃないですか。その中で14”のフロアタムを叩くとフロアタムになりきれていないというか、タム寄りのフロアタムになってしまうというか…。それで14”フロアタムを左(ハイハット側)に持ってきて(ライドシンバル側の)フロアタムを16”、18”にしたんですけど、14”フロアタムを全然使わないことに気づいちゃって笑。両サイドのフロアタムをフラムで使ったりするんですけど、その時にもっと低い音が欲しくて、最終的に今の20”のゴングドラムにしました。
※正面右手に見えるのが20"のゴングドラム。シェル構成はReference PUREと同じだが、ラグを変更していることによりMasterworksのバッジが取り付けられている。
Kid'z氏使用のReference PUREの深さは黄金比サイズ(10"x6.2"、12"x7.4"、16"x9.9"、18"x11.1")を採用している。
Pearl:今メインで使用されているReference PUREは深さを黄金比サイズにしていますが、どういった経緯がありましたか?
Kid’z:個人的な好みなんですけど、浅胴が元々好きでチューニングしやすいってのもあるし、音色も深胴より浅胴の方が好きでShaneも黄金比(サイズのドラムセット)を使ったりしてたのですごい興味があったんですよ。けど、黄金比サイズのドラムセットを叩く機会が無かったんで…。それで使ってみたいなと思って作ってみました。結果的には大成功でしたね。余韻が短くてまとまってくれるから分離がめっちゃいいです。ミュートもあまりしないですね。元々Reference PURE自体、分離が良いじゃないですか。それに加えてさらに分離が良くなった感じなのかなって思いますね。
Pearl:Kid’z さんにとってPearlのイメージは?
Kid’z:Pearlは小さい頃からずっと知ってたし、ドラマーとしては日本の音楽を支えている感じはしますよね。日本で一番扱いやすいドラムなのかなって思います。海外のメーカーとかもいろいろあるじゃないですか。でも海外のメーカーが日本で本領を発揮しているのをあんまり見たことがなくて笑。だからPearlは日本人に一番合ったドラムセットなんじゃないかな。楽器屋にしてもスタジオにしても、どこにいってもPearl製品ってあるんですよ。日本にいて一番触れる機会の多いメーカーだから、自然と扱い方もその時に学んでるんだと思うんですね。ここの部分をこうしたらこうなるとか。ここのネジを緩めるとここが動くとか。
Pearl:機材の調整は、楽器を触って初めて分かるようになりますよね。
Kid’z:僕も機材は結構いじっていた方ですしね。基本今でもレコーディングとかのチューニングは自分でやってますし、場所によってはライブのチューニングも自分でやりますね。もちろんPAの方と話し合いながらなんですけど、基本自分でやってます。個人的にはリバウンド強めの張り気味の方が好きなんですけど、カンカンって音よりは多少太めの音を出したいので、それほどハイピッチにはしてないです。
あと、ペダルも自分でスプリングやパーツの調整をしますね。チューニングも含めてなんですが、プレイしていてあまりストレスが無いように意識してます。
僕は機材をコロコロ変えるタイプでは無いので、最初に試してみて”これすごい馴染みそう”と思ったら、それを馴染ませる方向に持っていってるような気がします。
Pearl:これからドラムを始める方や、プロドラマーを目指している方々にメッセージをいただけますか?
Kid’z:僕がやってたことは憧れているドラマーを真似ることですかね。その人の参加してる楽曲をコピーするとかパフォーマンスを真似してみるとか…。そういうことを僕はやってきてたんで。めっちゃ研究することが必要だと思うんですけど、例えば”CDはこうやって叩いてるけどライブはこうやって叩いてる”とか違いがあるじゃないですか?本当にその人のことが好きだったら、その違いが分かるじゃないですか。ライブはこうやって叩くんだ、みたいな。その違いを両方やってみたりとか…。そうすると”ライブはこういうテンションで叩いたらいいんだ”っていう発見も自然とできるじゃないですか。コピーしたっていうライン、自分の中でまだ出来てないっていうラインをどこに置くかっていうことが重要だと思うんですけど、僕の場合は本当に(本人と)一緒になるくらいまで、もちろんパフォーマンスだったり、音色からフレーズまで完成度を高めることを意識してましたね。それが自然と自分のスタイルになっていく気がしますね。